●野馬臺詩の預言書としての読み方
東海姫氏国 |
東海、姫氏の国 |
百世代天工 |
百世、天工に代る |
右司為輔翼 |
右司、輔翼となり |
衡主建元功 |
衡主、元功を建つ |
本枝周天壌 |
本枝、天壌に周く |
君臣定始終 |
君臣、始終を定む |
谷填田孫走 |
谷填(み)ちて田孫走り |
魚膾生羽翔 |
魚膾(かい)羽を生じ翔る |
葛後干戈動 |
葛の後、干戈動き |
中微子孫昌 |
中微にして子孫昌んなり |
白龍游失水 |
白龍游ぎて水を失い |
窘急寄胡城 |
窘(きん)急にして胡城に寄す |
黄鶏代人食 |
黄鶏、人に代わりて食し |
黒鼠喰牛腸 |
黒鼠、牛腸を喰う
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丹水流盡後 |
丹水流れ尽きて後 |
天命在三公 |
天命三公に在り |
百王流畢竭 |
百王流れ畢(ことご)とく竭きて |
猿犬称英雄 |
猿犬、英雄を称す |
星流鳥野外 |
星流れて野外に飛び |
鐘鼓国中喧 |
鐘鼓、国中に喧(かまびす)し |
青丘与赤土 |
青丘と赤土と |
茫々遂為空 |
茫々として遂に空と成らん |
意味
東海にある姫氏の国(日本)では、百世にわたって天に代わり(人の治める国になった)、左右の臣下が国政を補佐し、宰相が功績を打ち立てた、初めはよく法
治の体制を整え、後にはよく祖先を祀った、天子と臣下は天地にあまねく、君臣の秩序はよく定まった、(しかし、)田が埋もれて貴人が逃げまどい、なますに
突然羽が生えて飛ぶ(下克上の時代になった)、中頃に衰え、身分の低い者の子孫が栄え、白龍は水を失い、困り果て異民族の城に身を寄せた、黄色い鶏が人に
代わってものを食べ、黒い鼠が牛の腸を喰らった、王宮は衰退し、天命は三公に移った、百王の流れはついに尽きて、猿や犬が英雄を称した、流星が野外に飛
び、(戦いを告げる)鐘や鼓が国中に響いた、大地は荒れ果て、果てしない世界は無に帰した。 |
解釈(※この他にも、様々な解釈がされています)
東海にある姫氏の国は、百代にわたって代々栄える。優れた臣下に補佐され、はじめは、法治の体制が整備され、祖先を祭り、主君と臣下が支えあい、国は理想
的に治まっている。
しかしある時から蔦がはびこるように戦乱がひろがり、中ごろには衰微し、下賎の者の子孫が栄えるようになる。そのため王家の力も失われ、世の秩序が崩壊し
て、下克上の状況になった。王の権力は失われて、天命は三公の貴族に移る。百代続いた天皇の治世は終わり、猿犬が英雄を称するようになる。そして国中に戦
乱が起こり、国土は荒廃して、ついには空しいものになるだろう。 |
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