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本宗、 天譲(壊)(てんじょう)に定まるに始まり、初め、元(くに)を建てるに功あり、 |
始 |
定 |
壊 |
天 |
本 |
宗 |
初 |
功 |
元 |
建 |
(解説)
本宗とは、その時代の宗という事ですから、皇帝・玄宗の事でしょう。玄宗は、父である睿宗(えいそう)から、天下を譲り受け、そして、国を再興し、開元
(かいげん)という時代を築きました。
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臣君、終始(周枝)、祖を治法主と興(たた)えて終わる。 |
終 |
臣 |
君 |
周 |
枝 |
祖 |
興 |
治 |
法 |
主 |
(解説)
人々は、社会も人心も安定した時代が続いたので、玄宗の治を讃えて、開元の治と呼びました。(「元」には、「はじまり」、「もと」という意味があります。
玄宗は国を再建したので年号に開元が使
われているのでしょう。)
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統治(孫)は谷を走り、政(祭)事(まつりごと)、羽の生えたごとく、事衝(じしょう)、
成し
終わる。 |
谷 |
孫 |
走 |
生 |
羽 |
祭 |
成 |
終 |
事 |
衝 |
(解説)
孫は系、つながっている集りの意味ですから、代々続く唐の国体の事だと思います。その統治が国のすみずみまで行き渡っている様子を示すのでしょ
う。祭は政治の意味だと思います。政治の事は「まつりごと」とも言います。
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田は埋(塡)まり、魚は集(膾)まり、世代は、天工翼を翔ぶ。 |
塡 |
田 |
魚 |
膾 |
翔 |
世 |
代 |
天 |
工 |
翼 |
(解説)
塡は
埋まる(いっぱいになる)という意味ですので、田がいっぱいになるという事は、豊作でしょう。開元の時代は、豊作が続きました。會(
膾)は、「会(あつ)まる」ですから、魚膾は、豊漁の意味でしょう。世代天工翼を翔ぶですから、交通網の発達を
表し、交易がさかんに行われた事をしめして
いるのではないでしょうか?
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孫氏(そんし)(孫氏の兵法)、戈(ほこ)を動かし、葛(つら)なる百国氏がこれを支え
た。 |
孫 |
子 |
動 |
戈 |
葛 |
百 |
國 |
氏 |
右 |
輔 |
(解説)
孫氏と
言えば、兵法で有名です。軍規が、統治していた様を表すのだと思います。
葛(かずら)はツタなので、繋がり広がるイメージでしよう。玄宗は富国強兵を行い、節度使制度をひいて、異民族をその統治に登用しました。輔は、輔佐する
という意味でしょうから、右輔は百国の氏が、玄宗の統治を支えていたと意味がとれます。
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中原を平定後、東海姫の司(つかさ)の昌(さかえ)に微力ながら寄与する。 |
昌 |
微 |
中 |
干 |
後 |
東 |
海 |
姫 |
司 |
為 |
(解説)
今、中国は、中華人民共和国と言いますが、昔から、中原を平定する事が、天下(中華)を取る事だという思想がありました。干には、戦い(干戈(かんか))
の意味がありますから、中干後で、天下を平定した後という意味でしょうか?次が、「東海姫の司の為(ため)」で、一番上の昌微で微力ながら栄えに役立ちま
した・・・・という謙譲(けんじょう)の気持ちがうかがえます。ということは、この東海姫の司が、この文の送り先だと断定出来ます。
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これらが、すべて、失われた、胡(ソグド人)が、水のごとく攻め寄せ、空しく、国は遂に喧
噪
(けんそう)と為(な)った。
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白 |
失 |
水 |
寄 |
胡 |
空 |
為 |
遂 |
國 |
喧 |
(解説)
これは、先に述べたとおり、胡は、安禄山の事で、その蜂起で国が乱れ、玄宗と唐の国が築いてきた平和が失われてしまったことが述べられていると考えられま
す。
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龍游(りゅうゆう)、城に馳せ参じ(窘急城)、鼓の音が響きわたる中、土煙が茫々と立ち昇
る。 |
龍 |
游 |
窘 |
急 |
城 |
土 |
茫 |
茫 |
中 |
鼓 |
(解説)
顔昊卿(がんこうけい)、 顔真卿(がんしんけい)、
郭子儀(かくしぎ)、李光弼(りこうひつ)、高仙芝(こうせんし)、哥舒翰(かじょかん)など、唐側の将軍達が勇ましく出征していく様子でしょう。窘急
は、中国語で切迫するという意味です。
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牛を喰(飡)らう者が人を食らう、黄赤の旗が、青鐘(せいしょう)の音と共に丘の上に興
(お
ど)った。 |
牛 |
飡 |
食 |
人 |
黄 |
赤 |
興 |
丘 |
青 |
鐘 |
(解説)
ソグド人は、遊牧騎馬民族の一つです。ですから、牛食で、遊牧騎馬民族、かつ、野蛮人という侮蔑(ぶべつ)も込められているかもしれません。それが、人を
食らい(殺し)、青鐘を鳴らし、攻め込んで来た様子を表しているのでしょう。黄赤は、旗の事だと思います。
ちなみに、安禄山の軍が鼓を打ち鳴らしながら、進撃してくる様子が、長恨歌に、「漁陽(ぎょよう)
鼙鼓(へいこ)動地來」と書かれています。
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渓(𨿸)流は、黒き鼠の腸(膓)と代わり、つい(畢)に、首が園(猿)外に掲(竭)げら
れ
た。 |
膓 |
鼠 |
黒 |
代 |
𨿸 |
流 |
畢 |
竭 |
猿 |
外 |
(解説)
膓は、そのまま、腸
の意味と取りました。𨿸流は、渓流を装飾してあるのでしょう。猿外も同じで、園外を装飾すると同時に、作者の残念な感情を伝えている
のだと思います。
畢は、終わりにとい
う意味ですから、ついにと訳しました。渓流が黒き鼠(頭の黒い鼠=人間)の腸と代わるというのですから、これは、潼関の戦いでしょう。
潼関の戦いでは、何万という兵士達の遺体で、黄河がうまったといいます。そして、掲げられたのを、私は、勝手に、首と解釈しましたが・・白旗かもしれませ
ん・・・・とにかく、潼関が陥落したという意味には、捉える事が出来ると思います。
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流血の惨事の後(丹盡後)、三王の英称が、縣(犬)野(けんや)に在った。 |
丹 |
盡 |
後 |
在 |
三 |
王 |
英 |
称 |
犬 |
野 |
(解説)
丹は赤、よく、血の事を表す場合があります。盡は、全ての・・・とい
う意味です。犬は、前の文と同じで、縣(地方)を場面にあわせて装飾しているのでしょ
う。すなわち、これは、玄宗一行の長安脱出を言っていると考えられます。同時に、三王の英称は、おそらく、「玄宗」、「粛宗」、「安禄山」(あるいは、
「玄宗 or 粛宗」、「安禄山」、「史思明」)で、天下が三分されてしまった状況を、示しているのでしょう。
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天命(てんめい)は水のごとくながれ、公、百雄星のごとく、流れ飛んでいく。 |
水 |
流 |
天 |
命 |
公 |
百 |
雄 |
星 |
流 |
飛 |
(解説)
中国には、天命思想があって、天下は、天命(天からのお告げ)で動くという思想があります。その天命が、今、玄宗から離れ、どこへ行くかわからな
い・・・・。(だから、この前節でも、天子ではなく、王と書いてあるのでしょう。)玄宗一行が逃げて行く有様を書くと同時に、そういう事を表しているのだ
と想像します。
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